DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるにあたり、まずは「現状の業務を見える化する」ことが第一歩となります。FigJamは無料で使えるオンラインホワイトボードで、図形や流れを直感的に描けるうえ、複数人での同時編集も可能。業務内容を可視化し、効率化の議論を進めるツールとして非常に有効です。本記事では、FigJamを活用した「現状のフロー可視化」と「改善議論の進め方」を中心に具体的なステップをご紹介します。はじめに業務の見える化では、誰もが理解できるように業務プロセスを図(フローチャート)にすることが大切です。会議を始める前に、まずは下準備をしておく必要があります。「業務プロセス」は開始・アクション・流れ・判断・終了で構成される業務を可視化する際にまず理解しておきたいのが、「業務プロセス」の基本構造です。どんな業務であっても、その内容は次のような要素から成り立っています。開始(Start):業務が始まるタイミングやきっかけ(例:お客様からの注文を受けた時点)アクション(Action):実際の作業や処理内容(例:商品を準備する、請求書を作成するなど)判断(Decision):条件に応じて進む道が変わるポイント(例:「在庫があるか?」「承認済か?」)終了(End):業務の完了地点(例:商品発送完了、入金確認済など)この4つを押さえておくことで、業務フローの「全体像」と「細部」を漏れなく整理できるようになります。FigJamではこれらを図形と矢印でシンプルに表現できるため、チーム全体で業務構造を共有しやすくなるのです。フローチャートの基本ルールは“形と色”を事前に決めておこうフローチャート作成では、「どの形にどんな意味を持たせるか」「どの色を何に使うか」を会議前に決めておくことがとても重要です。ルールが曖昧なままだと、作業中に混乱を招きやすく、せっかくの可視化作業がスムーズに進みません。基本の3つの図形を決めよう図形意味使い方の例楕円(丸)開始・終了「業務開始」「請求書送付完了」など長方形通常業務のアクション「請求書の内容チェック」「商品をピッキング」などひし形判断(分岐)「金額にミスはあるか?」「承認済か?」など図形に使う“色”を決めよう色分けの例:開始・終了(楕円)=赤:スタートとゴールがひと目でわかるアクション(長方形)=青:通常の業務工程を落ち着いた色で判断(ひし形)=緑:重要な分岐点を目立たせる色と形をセットで覚えることで、直感的に図の意味が把握でき、議論のテンポも速くなります。会議前にルールを共有するポイント事前にPDFで「形と色のルール表」を送っておくFigJamの画面左上に「ルールの見本ゾーン」を用意しておく初めての会議では冒頭5分で使い方を軽く説明このひと工夫だけで、FigJamを使ったフロー作成の効率と効果が大きく向上します。「誰が見てもわかる図」を作ることが、DXの第一歩です。フローチャートテンプレートを活用して楽に準備を進めよう!始める前に準備が大変だな・・・と思いますよね。でもご安心ください!FigJamにはフローチャート用のテンプレートが用意されており、業務プロセスを描き始める準備はこれでかなり楽になります!今回は、「Code Flowchart」を使用して作成してみます。FigJamで現状を描く手順:ワークショップ形式の会議で可視化ここからがいよいよフローチャートの作成です。対象としたい業務に詳しい人や責任者などメンバーを集め、可視化を進めていきましょう。ステップ1:「業務範囲」と「ゴール」を共有最初に業務のスコープ(例:「請求処理」「在庫確認」など)と可視化の目的(例:「業務時間を短縮したい」)を明らかにします。ステップ2:現場担当がフロー記入現状を知る担当者が、各業務ステップを長方形で貼り、判断が発生する箇所をひし形で示します。ステップ3:補足付箋で背景を付与処理内容や頻度、作業時間などの情報を付箋で補足します。これにより課題の把握がしやすくなります。この時、5W1Hを意識しながら整理していくことも大切です。そうすることで、メンバー全員の解像度が上がり、以降の議論が活発となります。今回は例として、「顧客に見積書を出す」業務フローを可視化していきます。ステップ1から3を実施し、以下のように可視化できたとします。ステップにメモとして捕捉情報を加えていくことで、各メンバーが理解しやすいようになるかと思います。改善のための議論を進める:現状→問題→改善案→意思決定さて、先ほどで現状のフローチャートが完成したら、最初に決めた「可視化の目的」を達成するための具体的な課題を洗い出していきましょう。なお、ここでの目的は「請求書発行の時間を短くしたい」ではなく「請求書発行までの時間をO時間以内にするにはどうしたら良いか?」というように、具体的な数値まで落とし込んでおくとメンバーの議論も進みやすいです。ステップ①:課題のポイントをマーク現状フローの中で、課題ありと感じる箇所にスタンプ(例:★)を貼ります。リアルタイムで全員参加しながら進められます。ステップ②:原因を深掘り課題ポイントにコメントや付箋で原因を記述。「二重入力」「承認に時間がかかる」などを書き出します。ステップ③:改善アイデアの付箋記入同じく付箋で改善案を並べます。たとえば、「入力フォームを統一」「承認ルートを短縮」「自動化ツール導入」など。ステップ④:投票スタンプで優先順位付けここではかなりの意見が出てくるはずです。そうなるとどこから手をつけていけば良いかわからなくなると思います。そんな時は、FigJamの投票機能を活用しましょう。各自が改善案に👍などの投票スタンプを付け、多数意見を可視化して優先順位を決定します 。先ほどの例の続きを見てみます。右側に現状、左側に課題と改善案を書くことで、わかりやすく整理していきます。どれを改善対象とするかを明記し、どのように対策をするか、改善案を出し合い、次のアクションを決めていきます。どのような業務も煩雑化してくるもの。まずは「現状を見える化する」というシンプルなワークから始めることがDXの一歩です。みなさまもぜひ、FigJamを使って改善の第一歩をはじめてみてはいかがでしょうか?