請求書の入力、EC注文の登録、Slackでの進捗報告——こうした日々の業務の中には、繰り返しの手入力や単純な転記作業が少なからず存在します。忙しい時期にはこれらの作業が大きな負担となり、「もっと効率化できないか」と感じたことのある方も多いのではないでしょうか。従来は、こうした業務の自動化といえばRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が主流でしたが、シナリオの開発や導入・保守には時間もコストもかかるという課題がありました。しかし今、ZapierやYoomに代表される“次世代RPA”ツールの登場により、開発不要・クラウド完結・即導入という新たな選択肢が広がっています。本記事では、RPAとiPaaS(アイパース)の違いを押さえながら、中小企業が今すぐ始められる業務自動化のベストプラクティスをご紹介します。業務効率化を加速させる“第一歩”として、ぜひご活用ください。手入力作業が大変!そんな時こそ業務の自動化を中小企業の現場では、繁忙期の受注入力や月末の売上集計、経理処理など、定型的な手作業が日常的に行われています。たとえば、ECショップの注文情報を基幹システムに手入力するPDF請求書の内容を目視で確認し、会計ソフトに転記する日々の進捗をメールやSlackで手動報告するこれらのルーティン業務は、ミスが起きやすく、時間もかかる一方で、業務スキルの向上にはつながりにくいのが現実です。だからこそ、こうした業務こそツールや自動化によって効率化すべき領域と言えます。RPAとは?人の作業を模倣して自動処理する技術RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略で、人がパソコンで行っている画面操作をソフトウェアロボットが自動で代行する技術です。たとえば、PDF請求書を開く → OCRで内容を読み取る → 会計ソフトに登録Excelのデータを元に見積書を作成し、メールで送信といった一連の作業フローを、まるで人が操作しているかのように自動で処理するのが特徴です。代表的なRPAツールには以下のようなものがあります:UiPath:Windowsアプリの操作自動化に強みを持つグローバル製品WinActor:日本の自治体・金融業界などでも広く利用される国産RPAこれらは高機能かつ柔軟な自動化が可能ですが、一方でシナリオ設計や導入・保守に専門的な知識と多大な工数がかかる点が課題です。Zapier・Yoomで実現する「次世代RPA」近年登場しているのが、ZapierやYoomのような“クラウド×ノーコード型”の自動化ツールです。これらは従来のRPAと異なり、「iPaaS(Integration Platform as a Service)」と呼ばれる領域に属します。つまり、クラウドサービス同士をAPI連携でつなぎ、業務を自動化する仕組みです。Zapier活用事例(実際の業務での使用例)Gmailで届いたお問い合わせメールをSlackに通知→ メール内容を自動で要約・整形し、Slackのチャンネルに即時通知Webフォームの回答内容をCRMに登録→ GoogleフォームやTypeformの回答を自動でHubSpotやSalesforceに連携ECサイトで注文が入ったら、顧客に自動メール&freeeに売上計上→ 販売→フォロー→会計連携を一気通貫で自動化ZapierやYoomが“次世代RPA”と呼ばれる理由ノーコードで構築可能:複雑な開発は不要、誰でも扱える設計即導入できるスピード感:最短当日から本番運用も可能クラウドサービスとの高い親和性:主要SaaSと幅広く連携安定性と保守性の高さ:UI変更の影響を受けにくく、API更新のみで対応可能こうした特徴から、ZapierやYoomは「画面操作」ではなく「サービス連携」で業務を進化させる新しい形のRPAとして注目されています。「次世代RPA」を導入するステップと注意点導入手順PoC(小規模テスト)から始める→ 例:フォーム入力→Slack通知のような単純な処理で試して効果検証使っているSaaSを洗い出す→ Freee、Google Workspace、Slackなど、社内で使っているクラウドを整理自動化フローを設計し、テンプレート化→ 同種の業務はテンプレ化して横展開すると運用効率アップよくある失敗と対策自動化任せの放置:例外時にトラブルが放置されがち 定期的にメンテナンスやモニタリングをする時間を予め作っておき、メンテナンスのための時間を必ず用意しておきましょう。特に運用開始直後は思っているよりも多くのエラーが発生することを想定しておくことをお勧めします。無計画な拡張 むやみに自動化を増やすと管理が難しくなります。運用が馴染むまでは、自動化する対象業務や担当者を絞っておくことをお勧めします。API上限トラブル 連携数や使用ユーザーが増えると制限超過することがあります。運用開始直後はこまめに上限を監視しておきましょう。上限に達するということは、効率化できていることの指標でもありますので、そこでブレーキをかけることなく、プランをアップグレードすることを前向きに検討してください。RPAとiPaaS、どちらを選ぶべきか?従来型RPAは、既存のオンプレアプリや帳票業務を活かしたい場合に適していますが、初期コスト・導入時間が大きな課題です。一方、iPaaS(Zapier/Yoom)は、クラウド環境が整っている企業なら圧倒的なスピードとコスパで自動化が可能です。一定のAPIや業務理解は必要ですが、専門業者やChatGPTを活用して学びながら進めることも可能。まずは小さく始めて、成果を体感することが何よりの第一歩です。従来型RPAとiPaaS型の比較比較項目従来型RPA(画面操作)iPaaS型RPA(Zapier/Yoom)操作対象PC画面(GUI、PDF、Excelなど)SaaS間のAPI連携初期構築高コスト・開発に時間が必要ノーコード・短期間で導入可能保守性UI変更によりエラーが起こりやすいAPI更新のみで対応可能自動化領域レガシーシステム、紙帳票などクラウドサービス、通知、登録業務コスト数十万~数百万円月額数千円〜導入時のスピード・コスト・運用負荷を考慮すれば、中小企業にはZapier/Yoomのような次世代RPAが適しています。ZapierとYoom、どちらを選ぶべき?二つのサービスにはそれぞれ違いがあります。比較項目Zapier(海外製)Yoom(国産)連携サービス数数千以上のサービスと連携可能国内主要SaaS中心に対応自動化の幅非常に広く柔軟性ありLINE WORKSなど国産連携に強み日本語対応一部UIやサポートが英語のみUI・サポートともに完全日本語対応コスト月額数千円〜(使用量に応じて変動)国内価格体系で比較的わかりやすい海外SaaSや多様なサービスを活用している企業にはZapierLINE WORKSやkintoneなど国産サービス中心ならYoom用途と社内環境に応じて選択することで、より効果的な業務自動化が実現できます。まとめZapierやYoomは、クラウド×ノーコードで実現する“次世代RPA”の代表格中小企業でもスピード導入&低コスト運用が可能まずはSaaSを導入し、ZapierなどでPoC(小さな自動化)から始めるのが最も実践的なステップ成功すれば、さらなる拡張やYoom、従来型RPAとの併用も視野に入れるべきです“業務の自動化”は、一部の大企業だけの特権ではありません。今や、ノーコード×クラウドの力を使えば、誰でも、今すぐに始められる時代です。