受注業務を効率化する方法|FAX受注の自動化でつまずく原因と進め方
「気づいたら、午前中が受注処理だけで終わっていた」。
卸売や製造の現場で、こんな日が続いていないでしょうか。
FAX、電話、メール、EC。注文はいろんな経路で届きます。そのたびに紙を見て手で入力し、転記する。繁忙期は人を増やさないと回りません。
ただ、受注の効率化は「OCRを入れれば解決」とは限りません。
この記事では、現実的な方法を整理したうえで、卸売の現場で実際につまずくポイントまで、5年向き合ってきた経験をもとに解説します。
なぜ、受注業務は効率化しにくいのか
結論から言うと、原因は「転記の連鎖」です。
- 入口がバラバラ。FAX・電話・メール・ECで注文の来かたが違う
- 同じ情報を何度も打つ。注文書 → Excel → 販売管理 → 発注書
- 単価が人に依存。得意先ごとの価格を担当者が記憶や台帳で確認している
ツールを入れても「入力する場所が増えただけ」になりがちです。転記の連鎖を断たないと、効率化は進みません。
受注を効率化する、現実的な4つの方法
受注業務の効率化には、大きく4つのアプローチがあります。自社の取引先や商習慣に合うものを選びます。
1. 取引先にEDI・BtoB ECで発注してもらう
取引先にWeb発注(EDI/BtoB EC)へ移ってもらえれば、そもそも手入力がなくなります。
最も効率的ですが、取引先側の協力が前提。長年FAXの相手には移行のハードルが高いのが現実です。
2. FAX注文書をAI-OCRでデータ化する
FAXを止められない取引先の注文を、AIの読み取り(OCR)でデータ化します。
FAXの運用は変えずに自動化できるのが利点。ただし後述のとおり、OCR単体では卸売特有の壁にぶつかります。
3. クラウド受発注システムにまとめる
受注・在庫・請求をクラウドで一元化し、転記そのものを減らします。
FAX-OCRと組み合わせると効果が大きい方法です。
4. OCR+RPAで既存システムへ自動入力する
OCRで読み取り、RPAで既存の基幹システムへ自動入力します。
既存システムを変えずに済みますが、RPAの構築・保守コストがかかります。
FAX受注の自動化、実は「ここ」でつまずく
「AIで読み取れば終わり」と思われがちですが、卸売の現場はそう単純ではありません。
5年向き合ってわかった、つまずきやすい4つの現実です。(詳しくは卸売FAX受注DXの本当の壁)
「いつもの醤油」問題
毎週発注する得意先ほど、商品名を省きます。「いつもの醤油」とだけ書かれた注文書は、正式名称(例:ヤマミ醸造 小麦フリー国産丸大豆たまり 18L)と突合できません。
→ 過去の受注データと突き合わせて商品を割り出す仕組みが要ります。
「料金が書いてない」問題
多くのFAX注文書に価格はありません。取引開始時の言い値や値引率で決まるため、注文側も把握していないことがあります。届くのは「商品コード・商品名・数量」だけ。
→ 得意先別価格マスタ・ランク別価格マスタとの突合が必要です。
「フォーマットバラバラ」問題
注文者ごとのフォーマットで届きます。チラシの裏に殴り書き、ということも珍しくありません。
→ 多様な様式を学習し続ける仕組みが要ります。
「基幹にCSV取込がない」問題
OCRで読み取れても、使っている基幹システムにCSVの取込口がなければ、結局は手入力に戻ります。
→ CSV取込ができる販売管理システムにまとめるのが現実的な解決策です。
つまり、受注を本当に効率化できるかは「OCRの精度」より、マスタ突合とCSV取込までつながっているかで決まります。
アニマルオフィスでの、実際の流れ
アニマルオフィスは、上の壁を踏まえて「読み取り→マスタ突合→出力」までを1つにしています。実際の流れは4ステップです。

得意先別・ランク別の価格マスタと突合するので、料金が書いていない注文書でも単価まで補えます。「いつもの注文」も過去データと突き合わせて割り出します。
実際にやってみた効果
導入事例|長野県・食品製造業(社名非公開)
同社では、得意先からのFAX受注の取り込みを6名の入力担当者で回していました。注文が集中する繁忙期にはパートを増員して対応していましたが、人手に依存した運用のため、欠員が出ると一気に負荷が偏る状態が続いていました。 転機となったのは、入力担当者2名の退職。このタイミングでアニマルオフィスのFAX-OCRを導入し、紙のFAX注文書をAIで自動データ化する体制に切り替えました。 結果、退職による欠員を新たな採用で埋めることなく、現在は4名のみで受注入力を回せています。繁忙期のパート増員も不要になり、人員を減らしながら処理能力を維持できる体制が整いました。
受注業務の効率化チェックリスト
2つ以上あてはまるなら、転記をなくす仕組みで大きく変わります。
- [ ] FAX・メールの注文を手で入力している
- [ ] 受注を販売管理や発注書に転記し直している
- [ ] 得意先ごとの単価を担当者が確認している
- [ ] 繁忙期に受注処理が追いつかない(残業・増員で対応)
- [ ] 使っている基幹システムにCSVの取込口がない
まとめ
- 受注効率化の方法は4つ(EDI/BtoB EC・FAX-OCR・クラウド受発注・OCR+RPA)。取引先と商習慣で選ぶ
- FAX-OCRの成否は「精度」より、マスタ突合とCSV取込までつながっているか
- 「いつもの注文」「料金が書いてない」といった卸売の現実に対応できる仕組みなら、受注の手入力から卒業できる
この記事を書いた人
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